りんくうメディカルクリニック RINKU MEDICAL CLINIC

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生活習慣病治療心不全に対する治療

心不全の現状

日本人の心疾患による死亡は癌に次ぎ2番目で、心不全による死亡数が最も多い現状です。また心不全の入院数は、2015年度の年間23万8840人(JROAD2015)で、年に1万人以上の割合で増加していると報告されています。循環器専門外来で内服治療などをされていても、心不全の急性憎悪で呼吸困難状態になり、入退院を繰り返されているかたが見られますが、心不全の末期状態になるに従い入院する頻度が増加していく傾向があります。

幹細胞での心筋再生への可能性

心機能の低下した患者様に、幹細胞(あらゆる臓器のもとになる細胞)をシート状にしたりスプレーにすることで、心筋表面に移植する方法で心不全の改善を目指す研究が、国内外で進行中です。しかし幹細胞の移植になると再生医療の法的な問題や、培養施設の問題もあります。また何より心機能の悪い患者様への、移植の外科的処置による体への負担などが懸念されます。
我々の施設ではそのための血中投与での心不全治療を試みています。(1)

脂肪幹細胞培養上清治療とは?

幹細胞を培養した培養液の上澄みは培養上清と言われ、何百種類もの成長因子が含まれています。また、この上清液の中にはサイトカインと呼ばれる細胞活性のカギとなる情報伝達物質も豊富に含まれていて、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に重要な役割を果たしており、その効果に関しては幹細胞そのものの投与と同等な報告も見られます。(2)
また、幹細胞の由来に関しては脂肪由来のものが最も培養上清投与の効果が良かったという論文もあります。(3)
実際肝機能や腎機能への改善への効果など、様々な効能が証明されつつありますが、心不全の方に使用することで再入院を回避する結果が自験例であります。

脂肪由来の幹細胞の培養上清投与の効果が高かったことを示すデータの一例

症例1 59歳男性 培養上清点滴にて心不全の急性憎悪を予防

2016年急性心筋梗塞で心肺停止状態で緊急搬送。
経皮的心肺補助法(PCPS)、大動脈バルーンパンピング法(IABP)、人工呼吸器下で心拍再開させ、冠動脈造影施行。左前下行枝(#6)、100%完全閉塞に対しステント治療。その後15病日で退院となったものの、心機能は左室駆出率(EF)21%と低下。

以後の心不全入院歴
2016 2017 2018 2019 2020(1月~3月)
9回 1回 1回 2回 3回

通常の内服治療はフルに行い、加えてコアテック、利尿剤静注適時追加。
2020年3月、4月、5月の3回培養養成点滴⇒その後7月までに心不全の急性憎悪なく下肢浮腫もなし。

心不全治療

当院では以下の様な方に治療をおすすめしております。

  1. 1、通常の内服や食事療法などを行っても、心不全の憎悪で入院を繰り返す方。
  2. 2、心不全の指標であるBNPやNT-proBNPなどが高い値で、慢性的に呼吸困難がある。
  3. 3、腎機能低下も合併しており、体がむくみやすい。
  4. 4、心筋梗塞を起こしたことがあり、心機能が悪いといわれている。
  5. 5、尿蛋白がでており、血液中のアルブミン(タンパク質)が低いといわれている。

本来の心不全の薬剤治療は継続いただいた上での追加投与となりますが、脂肪幹細胞培養上清を月に1回程度点滴などで投与します。点滴時間は1時間程度ですが、心不全の状態が悪いまま点滴をすると、十分に効果が出ないことが多いので、状態によっては心不全薬の薬剤調整を行った後に投与することもあります。

よく効果を高める目的で心筋を栄養する冠動脈内への投与方法も利用し、通常治療で入院を繰り返したり呼吸困難などを繰り返す方の症状改善に努めています。

□「脂肪幹細胞培養上清による心不全治療」は、自由診療にて行われます。
□カンセリングにより十分な説明をもって治療を開始します。
□詳しくは、当クリニックまでお気軽にお問い合わせ下さい。

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